千恵子が生まれた時、家には祖父朝盛（53．松山小学校教頭）、祖母ツル（49）、父誠順（30．県庁職員）、母シズ（25）、姉奈津子（２）、叔父敬順（21．小学校教諭）、叔母敏子（17．郵便局）、叔母秀子（13．二高女１年）、叔母浩子（11．久茂地小学校６年）が同居。

日本で初のトーキー映画『マダムと女房』封切られる。

満州国建国宣言（執政溥儀、首都新京）。

祖父朝盛、松山小学校の校長になる。

叔母の秀子（15）、那覇のデパート『山形屋』に務める。

沖縄の平和館にトーキー映写機が備え付けられる。

チャップリンが初来日。

五・一五事件。

・沖縄で学校給食始まる（県下の児童93％が欠食児童）。

シャーリー・テンプルの映画が流行る。

妹、登美子、生まれる。

・東郷平八郎元帥の国葬。

室戸台風来襲。

アメリカ大リーグのベーブルースら来日。

ビーズ製の袋物流行。主に主婦の内職。

叔父の敬順、名護の小学校に転任。

・首里城内に孔子廟落成。

祖父朝盛（60）、校長を定年退職する。

弟、康栄（５）、久茂地尋常小学校に入学。

叔母の浩子（17）、県立病院の看護婦になる。

二・二六事件の『今からでも遅くない』が流行語に。

『綴方教室』中央公論社から発売、ベストセラー。定価１円50銭。

・この頃、沖縄でも愛国献金運動や千人針の愛国運動展開される。

日本軍、南京を占領。日本国内はお祭り騒ぎとなる。

歌詞募集国民歌『愛国行進曲』100万枚売れる。

千人針、慰問袋作りが盛ん。

《物価》サイダー20銭、レコード１円65銭、天丼40銭。

日本軍、徐州を占領。国中、戦勝に沸く。

沖縄男子青年団大会、標準語励行を申し合わす。

映画『愛染かつら』主題歌とともに全国的に大ヒット。

竹・木・陶器製の代用品が出回る。

ミッチェル作『風と共に去りぬ』ベストセラー。

《物価》白砂糖１kg43銭、アンパン５銭、ジャムパン10銭。

姉の奈津子、第二高女に入学。従姉の知念陽子、第一高女に入学。

◇制服が生地節約のため半袖になる。

愛馬の日。『愛馬進軍歌』が流行。

弟、昌栄、生まれる。

学生の運動競技は土曜午後、休日以外は禁止される。

愛国婦人会、『銃後のわたしはタスキがけ』を合言葉に各地で活躍。

《物価》映画館入場料55銭、ワイシャツのクリーニング料金２円80銭。

叔母の秀子（23）、糸満町の漁師に嫁ぐ。

内務省、芸能人の外国名やふざけた芸名の使用を禁止。

妹、登美子（５）、久茂地尋常小学校に入学。

米、みそ、醤油、塩、マッチ、木炭、砂糖など10品目の切符制を決定。

学生、生徒が平日に映画、演劇を鑑賞することを禁止。

・沖縄日報、沖縄朝日新聞、琉球新報、統合されて『沖縄新報』となる。

『ぜいたくは敵だ』の看板が町に立てられる。

国民服が普及する。

千恵子、第二高女に入学する。同学年は150余名。

従姉の知念幸子、県立女子工芸学校に入学。

稲福全栄、第二高女の校長となる。

全国の隣組、一斉に常会を開く。

支那事変四周年記念式典が学校で行われる。

ソプラノ歌手関屋敏子（38）自殺。

・沖縄放送局が首里に設立。

日本軍、ハワイ真珠湾を攻撃（太平洋戦争始まる）。

閣議、戦争の名称を《支那事変》を含めて《大東亜戦争》と決定。

◇那覇近郊の全女学校生徒、毎週月曜日、連隊区司令部で書類整理の手伝いに動員される。

初の大詔奉戴日。全国の神社、寺院で先勝祈願。日の丸弁当。

・沖縄の護国神社竣工。

・沖縄放送局、放送を再開する。

ミッドウェー海戦で日本艦隊、大敗を喫す。

全国中等学校野球大会中止を発表。康栄、陸上部に移る。

義勇託児所開設され、県下全女学校生徒を夏休みに駆り出すようになる。

２学期より英語の学科が廃止される。

沖縄県、標準語純正化のため『会話読本』を国民学校へ配布する。

開戦一周年国民大会。『海行かば』の斉唱。

・沖縄県食糧営団が設置される。

・大晦日に除夜の鐘もならない。

流行標語『欲しがりません勝つまでは』

流行歌『婦系図の歌』『空の神兵』『月月火水木金金』『新雪』

ジャズなど米英音楽の演奏、レコードを禁止。

宮古島、石垣島で飛行場の建設が始まる。

雑誌の英語名禁止。

沖縄本島の読谷と伊江島飛行場建設のため労務者の徴用が開始される。

◇女子青年学校の通学服をモンペに統一する。

姉の奈津子、県立病院看護婦養成所に入所（同期生は50人）する。

従姉の知念陽子、師範学校女子部本科に入学。

アッツ島守備軍、玉砕する。玉砕という言葉が初めて使われる。

東条首相、沖縄に立ち寄る。那覇近郊の全学校生徒が歓迎する。ブラスバンド部は演奏。

第二高女、小禄飛行場の排水溝掘り作業に駆り出される。

大本営、７月29日のキスカ島守備軍の完全撤収を発表。

◇日本全国女子学徒動員を決定。女子中等学校生徒に看護教育始まる。

野球用語他一切英語禁止。

◇女師、一高女、心身鍛練のため17里行軍を実施。

政府、《決戦非常措置要綱》を決定（高級料亭追放、劇場閉鎖など）。

◇沖縄家政女学校を積徳女学校と改称する。

第32軍（沖縄守備軍）が新設される。

�B女師・一高女の校舎の３分の１の兵舎となる。

女学生は制服の胸に住所、氏名、血液型を書いた名札をつけ、モンペと防空頭巾が義務づけられ、救急カバンを常時携帯となる。『四大節』だけはスカート着用と決まる。

第32軍司令部の残余兵員150人、那覇に到着。ブラスバンド部、演奏。

第一陣として鈴木繁二少将の独立混成第44旅団約6000名が沖縄に送られる。

◇中学生・女学生ら陣地構築に駆り出され授業停止する。

那覇において将校、下士官、兵を招集し、看護婦、筆生、雑仕婦を民間より採用する。

◇小禄飛行場建設工事に、女師・一高女、首里高女が動員される。

第二高女、小禄飛行場の排水溝掘り作業に駆り出される。

叔母浩子（25）、陸軍病院の外科に採用される。

第９師団司令部の兵員100人、空路沖縄に到着する。ブラスバンド部、演奏。

・沖縄県県庁職員家族の本土引き揚げが始まる。

千恵子の祖父母、母親、妹二人と弟一人が宮崎県に疎開する。

シュミット少将指揮の米海兵隊４万2000人、テニアン島に上陸する。

・沖縄市の上山国民学校、松山国民学校、天妃国民学校の３校、宮崎県に疎開する。

第24師団（雨宮巽中将）、沖縄本島に到着する。ブラスバンド部、演奏。

第32軍新司令官として牛島満中将が着任する。ブラスバンド部、演奏。

第62師団（藤岡武雄中将）、沖縄に到着する。

夏休みもなく、作業に動員される。

・米軍、Ｂ29で初めて沖縄の空中写真を撮影する。

陸軍病院、南風原分院を開設。